この残酷な未来に対して、唯一の対抗馬として挙げられるのが「XRP Ledger上でRWAが大量にトークン化され、その取引手数料としてXRPが爆発的に消費されていくことで希少価値が高まる」というシナリオです。しかし、この一見論理的に見える反論も、現実資産が持つ経済的な性質と、XRPLの致命的な技術的限界の二重の壁を前にすると、完全に期待は崩壊することになります。

そもそも不動産や国債、株式といったRWAは、国際送金のように数秒単位で超高速回転させるための決済手段ではなく、投資家がポートフォリオに組み込んで長期間「保有」することを目的とした資産です。資産が保有されるということは、一度売買が成立した後は次の取引が発生するまでウォレットの中で眠り続けることを意味するため、決済通貨のような天文学的な取引件数そのものが構造的に発生しません。取引の瞬間にしか発生しないXRPの消費(バーン)量には最初から明確な限界があります。

さらに期待の息の根を止めるのが、XRPLにはスマートコントラクトが標準搭載されていないという技術的事実です。イーサリアムのように複雑なプログラムが裏側で自動執行され、その都度大量のガス代(手数料)を激しく消費していくような構造とは根本的に異なります。XRPLにおけるRWAの取引は、システムにあらかじめ組み込まれた「発行」や「移転」といった極めてシンプルな機能を呼び出すだけで完結するため、一回の取引で消費されるXRPの手数料は実質ゼロに等しいほどの極小量です。プログラムの実行コストが存在しない以上、XRPが取引の過程で常に使われるわけではなく、物理的に供給量を減らすほどのバーンは起きようがありません。

これに加えて、RWAを売買する際の「基軸通貨」としても、価格が乱高下するXRPではなく、常に法定通貨と連動しバーゼル規制をもクリアしているステーブルコイン「RLUSD」で直接取引する方が圧倒的に合理的です。結果として、RWAのインフラとしてネットワークは大成功を収めたとしても、その裏で扱われるXRPは、誰も長期保有せず、ごく微量の手数料を支払うためだけに一瞬だけ呼び出される「システム維持のためのコスト」に甘んじることになります。

こうなると、ホルダーにとって残された唯一のシナリオは、実需やユーティリティとは完全に乖離した「なんとなく凄そうだ」という、市場のノリと知名度だけで買われる「金融ミームコイン」の領域へと足を踏み入れることしかありません。実需やインフラとしての利便性を追求すればするほど、トークンそのものの保有価値が削ぎ落とされ、最終的には犬や蛙のコインと同じ「純粋な投機と信仰心」に頼らざるを得なくなるというパラドックスは、RWAというトレンドを取り込んだとしても解消されるどころか、その残酷な矛盾をより一層深める結果にしかならないのです。