特に現在のマツダはSUVのCXシリーズなど、12年以降のヒット車をきっかけに流入した顧客が多い。「これまで来店時には買う車種が決まっている『指名買い』が多かっただけに、マツダブランド自体へのこだわりは強くない。それだけ他メーカーへの流出リスクも高い」(西日本の販社幹部)

マツダは19年、5月に小型車「マツダ3」、10月に新型SUV「CX-30」と相次ぎ新型を投入した。燃費を改善し、走行性能を高めた新型エンジン「スカイアクティブX」の搭載車も19年末に販売を始めた。低速時の力強さと高速時の滑らかさを両立するというエンジンは、「走り」にこだわるブランドイメージの確立を狙うマツダにとって肝となる商品だ。

空白期も新型エンジンが売れれば苦にならないが、今のところ出足は鈍い。マツダによると、現時点の累計販売に占める「Xエンジン」の構成比は「マツダ3」で約4%、「CX-30」で約2%。当初見込んでいた25〜30%には及ばない。発売が19年末以降と遅かったものの、受注自体は通常モデルとほぼ同時期に始めていた。

ネックになっているのが同じグレードのガソリン車に比べて70万円弱高い価格設定だ。販社幹部らは「かなりの車好きでないと、乗っても違いが分からない。価格差の理由を説明するのに苦労している」と話す。さらに同エンジンはハイオク推奨。軽油を使うディーゼル車と違い、ランニングコスト面のアピールも難しい。

今後も売れ行きが伸び悩めば、価格政策や宣伝面などで何らかのテコ入れが必要になる可能性がある。

次に控えるラージは、大排気量の直列6気筒エンジンを搭載。現行車に比べて大きく値上がりすると見られている。購入層は今までと年収も違えば、要求する接客・サービス水準も高くなることが予想される。トヨタ自動車の高級ブランド「レクサス」や外車と本格的に競合することになる。

マツダはブランド力アップのため、値引きの抑制を重視している。今後の空白期間は「脱・安売り」にとどまらない、サービスや販売力の基礎を底上げするための期間とも捉えることができる。