技術者や現場の担当者が「この技術は素晴らしい!仕様も完璧だ!」とどれだけ熱弁して採用の判子を押したとしても、企業、特に銀行や大手金融機関の意思決定はそれでは終わりません。

現場が上げた稟議書は、最終的に「法務(リーガル)」「コンプライアンス(法令遵守)」「リスク管理」という関門を通過する必要があります。この関門にいる人たちは、技術の凄さには1ミリも興味がありません。彼らの仕事は「会社にリスクをもたらす泥泥を徹底的に排除すること」だからです。

審査の過程で、バックグラウンドに米国の主要当局(FinCENやSEC)から二度も巨額の制裁金を科された「前科」があることが発覚すれば、その時点でリーガル部門は「ノー」を出します。

「なぜわざわざ、過去に二度も規制当局とトラブルを起こした企業のトークンを採用しなければならないのか?」

「万が一、将来的にまた当局から目をつけられた時、誰が責任を取るのか?」

「他にもっとクリーンで、VisaやPayPalが実稼働させているような選択肢があるのに、あえてこれを選ぶ合理的な理由は何か?」

こうした冷徹な突っ込みに対して、現場の人間は誰も責任を背負いきれないため、稟議は途中で完全にストップして否決されます。

暗号資産のファンは「技術の理想論」で語りがちですが、実際のエンタープライズ(企業向け)ビジネスの本質は「いかにリスクを避けて安全に稟議を通すか」です。XRPがどんなに金融向けを謳おうとも、この「稟議の壁」を越えられないというクリーンさの欠如こそが、現在の実需の差にそのまま表れているのではないかと思います。