今回(161話)冒頭で長享ノ乱勃発の経緯が字幕説明されているが必ずしも十分な説明になっていない。
マダラ模様の複雑な利害関係は太田道灌生前から解り切っていたことだし、
家中統制の為に道灌を誅戮した結果有力与党の離叛を招いていては世話は無い。
また道灌誅戮を扇谷から自発的に山内へ告知した以上は自方の動揺や弱体化に付け込まれるのも想定内だった筈だ。
そもそも山内への叛心を露わにしたが故に道灌を斬った扇谷定正が自ら山内との全面戦争に突入した、
この不条理について全く触れる所が無かった。

当然のことで、
錚々たる研究者諸賢の著書や論文をいくら読んでもこの件について納得の行く論考には殆ど御目にかかれない。
僅かに木下聡氏の「扇谷巻き込まれ説」に説得力を感じたが学界のコンセンサスを得るには至っていないようだ。
 
ここぞ虚構の強味の見せ所だろう。
作中間もなく定正と伊勢宗瑞は直接対面を果たす。
そして程なく定正は死ぬ。
その短い時間に定正が血を吐くように真情を吐露する場面があると期待している。