なぜ優しい(少なくとも恐ろしくない)ママが登場したのか。静一に救いの光が訪れたのか、それとも更なる不幸への罠なのか。前者の場合は、前回の表紙で「さよなら絶望の鎖」と押見氏が書いていたように、静一の苦悩が癒され立ち直っていくきっかけが現れたと受け止められる。後者の場合は、保護が必要になったママを静一が一生面倒を見なけれいけないという重い運命が待ち受けている。いずれにせよ、静一は脳内ママに苦しめられつつも、心の奥底では現実ママを慕う気持ちを持ち続けていたはずである。最後の泣き顔には、自殺しようとした心の高ぶり、優しいママが現れた懐かしさ、そしてこれから続く実生活の苦しみへの思い、これらが複雑に絡み合った思いが凝縮されていると感じた。ただ、実際の静子は残酷なほど醜くなっていると思う。