一方、プリウスと同程度売れている他の車種はどうか。たとえば、トヨタのアクアは2014年以降の新車販売台数で
プリウスに匹敵する人気車種だが、同じ期間に報告されたブレーキ不具合は、実に12件しかなかった。また、2018年の
年間新車販台数でプリウスとアクアを上回った日産のノートおよびノートe-POWERシリーズを見てみると、ブレーキ不具合の
報告は22件だった(2014年〜19年4月30日現在)。もっとも、現役で走っている型(世代)や台数が異なることは考慮する
べきだが、それにしても、プリウスのブレーキトラブルの報告数は明らかに抜きん出ていると言えよう。

 なお、プリウスをめぐっては2018年10月、トヨタがハイブリッドシステムの異常を判定する制御プログラムが不適切であり、
急加速時などに走行不能になる可能性があるとして、プリウス、プリウスα、ダイハツ・メビウス(製造はトヨタ)の
計124万9662台のリコールを国土交通省に届け出た。これは、急加速時等の高負荷走行中に昇圧回路の素子が損傷した場合、
フェイルセーフモード(故障時に自動的に減速するなど不具合を最小限に抑えようとする機能)に移行できない危険性が
あるからというものだった。

トヨタタブーでプリウス問題を一切検証しないメディア

 ところが、こうしたプリウスの不具合報告の多さや重大なリコールについて、新聞やテレビなどのマスコミが報じることは
ほぼ皆無だ。そして当然のように、いま、ネット上で騒がれている“プリウスミサイル”説もまったく検証しようとしない。
というか、「高齢者の運転」は連日のようにとりあげるにもかかわらず、「事故車はプリウス」ということには触れようと
すらしないのである。

 前述の6月4日福岡事故での“プリウスミサイル”デマも、マスコミがそれまでの事故でプリウスの車名を意図的に隠して
いるように受け止められていたことが、ネット上でのいわゆる“オルタナティブファクト”に繋がった部分も大きいのではないのか。