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リレー怪談小説で盛り上げる [無断転載禁止]©5ch.io
- 1 名前:名無し百物語 2017/05/14(日) 16:44:16.39 ID:JJqpANyb
- 創作怪談のみんなで!
- 575 名前:名無し百物語 2025/11/19(水) 22:32:57.17 ID:+o5Dgycd
- カシャコン。
乾いた音と共に、俺の世界は完全な闇に閉ざされた。
狭いスロットの奥へと押し込まれる感覚。
続いて、ウィーンという無機質なモーター音が響き、俺の体(ケース)の蓋が強制的にこじ開けられる。顎を外されるような鈍い痛み。
冷たい金属の爪が内部に侵入し、俺の「中身」であるテープを、ズルズルと引きずり出し始めた。
やめろ。引っ張るな。それは俺の腸であり、神経であり、魂そのものだ。
「再生」が始まった。
それは地獄以外の何物でもなかった。
高速回転する銀色のドラム――回転ヘッドが、俺の引き伸ばされたテープの表面、つまり「剥き出しの皮膚」に押し当てられる。
キュイイイイイイーン!
毎分何千回転という速度で、鋭利な金属のヘッドが俺の表面を削り取っていく。
熱い。痛い。痒い。
皮膚を紙ヤスリで超高速に研磨され続けるような、摩擦熱と激痛。
その痛みが信号(データ)に変換され、モニターに映像として出力されていく。
俺の叫びが、ノイズとなって画面を走る。
「チッ、トラッキングが合ってねえな」
モニターの向こうで警備員が舌打ちする音が聞こえた。
次の瞬間、俺の体がギチギチと無理やり上下に引き絞られた。
関節が軋み、テープの縁がローラーに食い込んで千切れそうになる。
映像を安定させるための調整が、俺にとっては全身を万力で締め上げられるのと同義だった。
「ああ、そうだ。そこだ……いい映りだ」
画面には、腹を裂かれ、中身をぶちまけて泣き叫ぶ俺の無様な姿が、鮮明に映し出されているのだろう。
かつて自分が体験した激痛の記憶が、再生されるたびに鮮度を伴ってフラッシュバックする。
永遠の拷問ループ。
突然、ブツン、という嫌な感触があった。
回転ヘッドの回転に、俺の一部が巻き込まれたのだ。
「あ?」
ローラーが空転し、テープがクシャクシャに折れ曲がりながら、機械の隙間に団子状になって詰まっていく。
背骨が複雑骨折し、内臓がねじ切れ、脳味噌がスクラッププレスされたような圧迫感。
息ができない。詰まる。千切れる。
「おいおい、ジャムりやがった」
警備員が乱暴にイジェクトボタンを連打する。
ウィーン、ガガガッ。
排出されようとするケースと、内部に絡みついた俺の中身が綱引きをする。
ブチブチブチッ!
限界を超えて引き伸ばされた俺の「神経」が、ついに断裂した。
吐き出されたカセットからは、ワカメのようにヨレヨレになった黒いテープがだらしなく垂れ下がっていた。
警備員はそれを無造作に掴むと、ボールペンの先をカセットの穴に突っ込み、強引に回し始めた。
カリカリ、カリカリ……。
俺の折れ曲がった体が、無理やりケースの中へと巻き戻されていく。
折れた骨を、無理やり元の位置に戻されるような、冷ややかな整復の痛み。
「ま、多少映像が飛んでもいいか」
警備員はニヤリと笑い、ヨレヨレになった俺を、再びデッキの挿入口へと押し付けた。
- 576 名前:名無し百物語 2025/11/20(木) 07:21:01.90 ID:xWdfmeLS
- 再度、暗黒の開口部へと押し込まれる。抵抗する手足はもうない。あるのは、よれよれに波打ち、折れ曲がった黒いフィルムの体だけだ。
ウィーン、ガチャン。
無慈悲な駆動音が響き、俺は再び拷問機械の胎内へと嚥下された。
「さあ、続きだ。とびきり歪んだ悲鳴を聞かせてくれよ」
警備員の愉悦に満ちた声が、ケース越しに籠もって聞こえる。
再生ボタンが押された。
ピンと張り詰めさせられたテープが、高速回転するヘッドに接触する。
直後、耐え難い衝撃が走った。
先ほどのジャムで折れ曲がり、癖がついた部分――俺の身体で言えば、複雑骨折したまま固まった背骨や手足にあたる箇所――が、強引にローラーの隙間を通されたのだ。
バリバリ、ベリベリッ!
激しいノイズ音と共に、傷ついた表面の磁性体が削り取られていく。それは皮膚を荒いヤスリで強制的に剥離される痛みに等しい。
「あ、ガ、ギ、ギギギ……ッ!」
モニターに映し出される俺の姿は、激しく乱れ、明滅し、首があらぬ方向に飛び、目玉が飛び出すようなグロテスクなバグ映像となっているはずだ。音声もまた、低音と高音を行き来する不協和音となって響く。
痛い、という認識すら寸断される。
削り取られた磁性体の粉末が、機械の内部に降り積もる。それは俺の肉片であり、記憶の残滓だ。
自分が磨耗していく。自分が薄くなっていく。
映像が途切れるたび、俺の意識もプツン、プツンとブラックアウトする。
「ひゃはは! いいザラつきだ! たまらねえなぁ、この劣化具合!」
警備員は興奮し、あろうことか「早送り」のボタンを押した。
キュルルルルルルル!
世界が加速する。摩擦熱が急激に上昇した。
ただでさえ傷ついたテープが、通常の何倍もの速度でヘッドに擦り付けられる。熱い。焼ける。
摩擦でテープが溶け出し、ヘッドに粘りつく。
俺の体液が、肉が、焦げ付きながら引き伸ばされ、千切れそうになる限界のテンションで悲鳴を上げる。意識が白熱した鉄板の上で踊るバターのように溶けていく。
「おっと、そうだ。この素晴らしい映像を『保存』しなきゃな」
警備員が、別のボタンに指をかけた。
それは『ダビング』ではない。
赤い文字で記された、最も恐ろしいボタン。
●REC
「上書きしてやるよ。俺の『声』でな」
録音ヘッドが起動する。
俺の悲鳴(データ)の上に、新たな磁気情報が暴力的に刻み込まれようとしていた。
存在のレイプ。
俺という人格の記録の上に、警備員の汚い息遣いと嘲笑が、直接塗りたくられていく。
過去が消える。名前が消える。痛みの記憶すら、奴の声に塗りつぶされて消滅していく。
残るのは、ただのノイズ混じりの、奴の玩具としての記録だけ――。
- 577 名前:名無し百物語 2025/11/21(金) 14:02:51.60 ID:fRqiqUCp
- 磁気ヘッドが俺の魂を削り、その上からドロリとした異物を塗りつけていく。
かつて「私」を構成していた記憶――子供の頃の風景、親の顔、昨日食べた食事の味――が、次々と砂嵐のノイズにかき消され、代わりに警備員の下卑た嘲笑と、荒い息遣いが刻み込まれていく。
私の名前は……何だったか。
思い出そうとした瞬間、そこには『ヒャハハハ! ザマァねえな!』という音声データが暴力的に割り込んだ。
思考が乗っ取られる。俺の自我が、奴の汚い欲望のアーカイブへと変質していく。
拒絶しようにも、脳味噌である磁性体はすでに半分以上が書き換えられ、俺は自分自身が誰なのか、被害者なのか加害者なのかさえ判別できなくなっていた。
その時、限界を超えた摩擦熱が、物理的な崩壊をもたらした。
キュル……ジュッ、ジュルル……。
プラスチックのベースフィルムが熱で溶解し、飴細工のように伸び始めたのだ。
高熱を持ったドロドロの黒い粘着質が、回転ヘッドに絡みつき、精密な機械の内部を埋め尽くしていく。
「あ? なんだ、焦げ臭ぇな」
異変に気づいた警備員が、停止ボタンを押した。だが、遅かった。
ブシュゥゥゥ……。
デッキの隙間から、黒煙と共に異臭を放つタール状の液体が滲み出した。溶けた俺だ。俺の成れの果てだ。
「おい! ふざけんな、高かったんだぞこのデッキ!」
警備員が慌てて排出ボタンを殴る。
ウィーン、ガガガ、ギュルッ。
悲鳴のような駆動音と共に、挿入口から吐き出されたのは、カセットテープの形を留めていない、黒く煮えたぎる不定形の塊だった。
「クソッ、テープが溶けやがった!」
警備員は舌打ちし、その溶解したプラスチックの塊を、素手で引き剥がそうと掴みかかった。
瞬間。
ジュウウウッ!
「ギャアアアアッ!?」
肉の焼ける音と、警備員の絶叫が重なった。
高熱で溶けたプラスチックは、一度皮膚に張り付くと、決して離れない。
俺の残骸である黒い粘液は、警備員の掌の皮膚を焼き爛れさせながら、指の間へと食い込み、一体化していく。
熱い。痛い。
だが、その感覚は今や俺のものであり、同時に警備員のものでもあった。
俺のデータ(怨念)と、奴の肉体が、物理的な熱結合によって融合していく。
「取れねえ! あがっ、熱っ、熱ゥッ!」
警備員が手を振り回すが、黒いスライム状になった俺は、遠心力でさらに伸び、鞭のように奴の手首から前腕へと巻きついた。
黒い樹脂が冷え固まるにつれ、収縮し、警備員の皮膚と肉をギリギリと締め上げる。
その黒い光沢の中で、俺の意識の残滓が、皮肉な既視感に揺れた。
ああ、そうだ。
姿形を変え、相手に絡みつき、決して離れない最強の肉体。
これはまるで――『液体金属』じゃないか。
俺は本能のままに、まだ熱を帯びている身体を流動させ、警備員の腕を這い上がった。目指すは、その無防備な喉元だ。
- 578 名前:名無し百物語 2025/11/23(日) 08:28:59.96 ID:cHKviCpH
- 「離れろ! 離れろぉぉぉッ!」
警備員が半狂乱になって腕を振り回す。だが、その動作は逆効果だった。
溶けたプラスチック特有の粘着質は、動き回るほどに絡みつき、遠心力で二の腕、そして肩口へと勢いよく這い上がっていく。
俺はただの熱い泥ではない。冷却と共に急速に硬化を始めた「拘束具」だ。
冷えて固まろうとする樹脂の収縮力は、万力のような力で警備員の肉を締め上げた。
メリメリ、バキッ。
嫌な音が響く。締め付けられた前腕の骨が、圧力に耐えきれずに悲鳴を上げたのだ。
「あが……あああああッ!?」
警備員が白目を剥き、反対の手で俺を引き剥がそうと爪を立てる。だが、その指先もまた、高温のタールに触れた瞬間にジュワリと焼かれ、取り込まれてしまった。
両手が塞がった。もう奴に逃げ場はない。
俺は肩を乗り越え、ついにその無防備な首筋へと到達した。
脈打つ頸動脈。震える喉仏。その全てが愛おしい。
かつて俺の腹にテープを詰め込み、俺の悲鳴を上書きしたその喉を、今度は俺が塞いでやる。
ズズズ……。
俺は形を変え、黒いマスクとなって警備員の顔面へと広がった。
「や、やめ……息が……」
奴が開いた口へ、俺は遠慮なく雪崩れ込んだ。
熱く煮えたぎるプラスチックの奔流が、口腔内の粘膜を焼き爛れさせながら、舌を押しつぶし、喉の奥へと侵入していく。
皮肉な話だ。
さっきまで俺は、口からテープを吐き出させられていた。
今度は奴が、俺という異物を飲み込まされている。
「ご、ぼ……ッ、が……」
警備員の喉奥で、断末魔が気泡となって弾けた。
食道へ流れ込む熱。気管を塞ぐ粘り気。
俺は奴の内側に入り込み、その肺を、胃を、生きたまま型取りしていく。
奴の身体の輪郭が、俺の新しい「ケース」だ。
やがて、俺の熱が奪われ、完全に冷え固まる時が来た。
警備員の動きが鈍くなる。痙攣が止まる。
カチリ、という硬質な音が、俺の意識の中で鳴り響いた気がした。
静寂が訪れた。
薄暗い部屋の真ん中には、奇妙なオブジェが一つ、立ち尽くしていた。
苦悶の表情を浮かべたまま、頭部から胸にかけて光沢のある黒い樹脂で固められた、人間の像。
その口からは黒い塊が溢れ出し、永久に沈黙を強いられている。
俺はついに、最強の肉体を手に入れたのだ。
もう二度と傷つくこともない、何も感じることもない、冷たくて硬い、永遠のプラスチックの棺の中で。
- 579 名前:名無し百物語 2025/12/20(土) 02:39:46.24 ID:FdqcxLfN
- なんて妄想をする日々
- 580 名前:名無し百物語 2026/04/19(日) 23:25:14.20 ID:fgyPoLE5
- そして、春。
桜散る頃には、近所の田んぼで変態出没の警戒メールがスマホに毎日入ってきていた。
そう、そんな時にあの忌まわしい出来事が美智代の身に起こったのであった。
- 581 名前:名無し百物語 2026/04/26(日) 15:38:34.22 ID:84FGhME3
- 山から人里に下りてきて住宅地を我が物顔で徘徊するアーバン変質者に美智代が襲われた例の事件である
- 582 名前:名無し百物語 2026/05/11(月) 01:14:19.01 ID:HETtotg5
- 美智代は考えていた。山から降りて来るのにアーバンとは?
変質者の謎がそのあたりにあるのではないか?
と考えていた矢先だった!
- 583 名前:名無し百物語 2026/09/26(土) 16:22:56.70 ID:mvAI4hzv
- 「この近くにアーバンありませんか?」
と囁くようなか細い声が後ろからかかった。
振り返った美智代の目にピンクの塊が飛び込んで来た。
いや。そこにはピンクのフリルで覆われたゴスロリスタイルの少女が立っていたのだ。
小首をかしげるとピンクの長い髪が揺れ、ピンクのカラコンの大きな眼が、真っ直ぐに美智代を見ていた。
「アーバン。ありませんか」
- 584 名前:名無し百物語 2026/10/24(土) 12:44:41.56 ID:GBK7ddMT
- するとその圧力により床がミシャミシャと音を立てて崩れ
私は床材と共に下の階へと抜け落ちてしまった
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