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Solanaの「ホットな状態に処理が集中すると並列化できない」という問題と、「だからEthereum L2が正解」という話は別問題です。

ただ、「L2は流動性を分断するだけ」というのも単純化しすぎです。Ethereumは複数の実行環境に処理を分散しながら、Ethereum L1を共通の決済・流動性・セキュリティ基盤として使う方向に進んでいます。さらにL2間の相互運用性や共有流動性を高める仕組みも進められています。

そしてSolana自身の資料を見ると、この問題はかなり明確です。

2026年7月、Solanaはブロック上限を60M CUから100M CUへ引き上げました。しかし、1つの書き込み可能アカウントに対する上限は12M CUのままです。つまり、独立した処理を並列化する能力は増やせても、同じ状態に処理が集中した場合の制約は残ります。

Solanaのように単一L1の中で並列化を最大化する方式は、状態が独立している処理には強い一方、同じ状態へのアクセスが集中する処理では、ハードウェアを増強しても並列化できない構造的な制約が残ります。

ここでEthereumとの違いが出てきます。

Ethereumは、L1だけですべての処理を処理しようとしているわけではありません。L1を決済・共有状態・流動性の中心に置き、その上に複数のL2を展開することで、実行能力を水平に増やす構造です。Ethereum Foundation自身も、L1を「settlement, shared state, liquidity」のグローバルハブ、L2を追加の実行環境として明確に位置づけています。

そしてステーブルコインを見ると、この構造の意味がさらに分かりやすい。

現在、ステーブルコインの最大の基盤はEthereum L1にあります。Ethereum公式の機関向けデータでは、Ethereum L1上のステーブルコインは約1600億ドル、L2にも約123億ドルが存在しています。L2は単なる「別の島」ではなく、L1に存在する巨大な資産・流動性を、低コストの決済や高頻度取引へ拡張する実行レイヤーとして機能しています。

つまり、Ethereumの考え方は「L2に流動性を捨てる」ことではありません。

巨大な流動性と決済の中心をL1に置いたまま、実行処理だけを複数のL2へ水平展開する。

これが重要です。

SWIFTについても、「Ethereum L2ではないから無関係」と切り捨てるのは雑です。SWIFTが採用しているのはEthereumそのものではなく、Hyperledger BesuによるEVM互換の共有台帳です。もちろん「SWIFTがEVMを採用した=Ethereum L2を採用した」という話ではありません。そこは明確に区別すべきです。

しかし、金融インフラ側でEVM互換の実行環境が採用され、その先に民間企業や金融機関のサービスが広がれば、既存のEVM開発環境、スマートコントラクト、開発者、人材、ウォレット、そしてEthereum上に蓄積された巨大なステーブルコイン流動性との接続性が重要になります。

そしてここが大きい。

ステーブルコインの巨大な経済圏をすでにEthereum L1が抱え、その上にL2という実行レイヤーが増えていく。

金融インフラがEVM互換へ近づいていくなら、民間利用が進んだ先でEthereumエコシステムとの接続が自然な選択肢になる可能性があります。これは将来予測ですが、単なる「Ethereum信者の願望」ではなく、現在すでに存在する流動性・開発者・EVM互換性というネットワーク効果を踏まえた話です。

一方、NYSEについても「ICEがAvalancheを選んだからEthereum終了」という単純な話ではありません。ICEの公式発表は複数ブロックチェーンを想定したトークン化証券基盤です。

結局、Solanaの単一L1で処理能力をひたすら高める思想と、EthereumのようにL1を流動性・決済の中心として維持しながら、複数の実行環境へ水平に拡張していく思想では、スケーリングの方向そのものが違います。

Solanaが遅いという話ではありません。高速化は猛烈に進んでいます。しかし、同じ状態への処理集中という問題まで、単純なハードウェア増強だけで無限に解決できるわけではない。

その意味で、単一チェーンをさらに高速化していく方式には、すでに構造的な上限が見え始めています。