>>571
まず、署名検証とステート更新の混同というご指摘は認めます。直列実行のボトルネックになるのはステート更新であり、署名検証はGPU等で並列処理できるので、「計算量が増えるから直列実行の限界が早まる」という因果は不正確でした。

ただし問題の急所はサイズであって計算量ではありません。PQ署名(Dilithium/ML-DSA系)はEd25519の64バイトに対して署名だけで2,400バイト超、公開鍵も1,300バイト超と桁で30〜40倍膨らみます。これは検証の並列化では解決できません。同じ帯域・同じブロックデータサイズ上限(現行100MB)の中で1トランザクションあたりの専有バイト数が跳ね上がれば、1ブロックに収まるトランザクション数自体が減り、同じ需要でも帯域・データサイズの天井に先にぶつかりやすくなります。つまり結論は変わりません。「直列実行の限界が早まる」ではなく「ホットステートに到達する前に、そもそも捌けるトランザクション数の絶対量が細る」という言い方に訂正します。

次にFiredancerの評価について。効率化でソフトウェアの無駄を削り、ハードウェア限界ギリギリまでスループットを引き上げること自体は否定していません。ですがこれはこちらの主張と矛盾しないんですよね。効率化は壁に到達するまでの余裕を使い切るだけの話で、壁の位置(5〜6GHz)自体を動かす技術ではないので。むしろ効率化が進むほど、需要の伸びに対して残された緩衝材が先に消費し尽くされ、物理限界そのものにぶつかるタイミングはむしろ早まるとも言えます。Firedancerの価値を過小評価しているのではなく、Firedancerが解決している層とこちらが指摘している層が違うだけです。

最後にローカル手数料市場について。これは率直に「止まる」という表現が言い過ぎでした、訂正します。Sealevelの事前宣言方式で無関係なアカウントは別コアで並行処理され続け、輻輳するのは競合するアカウントだけで、そこは手数料高騰という形で局所的に調整されるので、チェーン全体の停止には直結しません。

なので主張を訂正します。「Solana全体が停止する」は撤回します。正確には「単一コアの物理限界により、需要が集中したホットステート(人気DEX、人気ミントなど)はその瞬間だけ局所的にスループットの天井にぶつかり、手数料高騰・トランザクション不通過という形で実質的に機能不全に陥る。これはPQ署名のサイズ増大でさらに悪化しうる」という主張です。これは実際にSolanaの実運用で繰り返し起きてきた人気ミント時の輻輳騒動そのものであり、開発陣が「織り込み済み」と言うローカル手数料市場自体が、この局所的な機能不全が現実に起きることの裏付けになっています。逃げ道が用意されているのは、逃げ道が必要な問題が実在するからです。