◎SWIFTが始める「点」から「面」へのEVM化――Ethereumはインターネットと同じ構造で広がる

SWIFTが進めているのは、単なるブロックチェーン採用ではない。これまで点で進んできたEVM互換化を、銀行、金融機関、決済、証券、RWA、ステーブルコインなど、金融インフラ全体へ「面」として広げていく動きだ。

Consensysとの公式提携でも、まず銀行や金融機関のプライベート・パーミッションドネットワークを接続し、その先でパブリックブロックチェーンまで相互運用性を広げる方向が示されている。重要なのは、世界中の金融機関を一つのチェーンに移すことではなく、それぞれ異なるネットワークを共通規格で接続していくことだ。

これはインターネットの発展と同じ構造を持つ。インターネットも、世界中の情報を一つのコンピューターや一つの状態に詰め込んだわけではない。世界中にサーバーやネットワークを分散させ、それらを共通規格で接続することで、巨大な一つの情報空間を形成した。

Ethereumも同じだ。世界中の経済活動を一つのEthereum L1に詰め込むのではなく、L1、L2、アプリチェーン、金融機関のプライベートネットワーク、パブリックチェーンへ処理を分散させる。そしてEVMという共通言語と相互運用性によって、それらを一つの巨大な経済圏として接続する。

つまり、サーバーを分散させながら世界の情報を一つのインターネットに集約したように、Ethereumは処理を分散させながら世界の価値を一つの経済圏へ集約していく。

そして、その構造を現実に近づけているのがAgglayerやEILだ。Agglayerは複数チェーンの相互運用性や流動性を統合する方向で実際に進んでおり、EILもEthereumのセキュリティをより広い経済圏へ拡張する方向にある。

ここまで進めば、「EthereumはL2が多すぎて分断されている」という見方自体が変わってくる。インターネットに対して「世界中のサーバーを一台にまとめろ」と言わないのと同じで、巨大な経済圏を一つの状態に詰め込む必要などない。重要なのは、それぞれが独立して動きながら、利用者からは一つの経済圏としてシームレスに使えることだ。

さらに重要なのは、その経済圏が拡大するほど、最終セキュリティを担うEthereumのステーカーの重要性も増すことだ。AgglayerやEILのような仕組みが成熟すれば、各ネットワークに分散していた経済活動とセキュリティ需要の一部が、最終セキュリティを提供するEthereumのステーキングへ徐々に集約されていく。

そして、そこで生まれる価値は最終的にETHの価値捕捉へつながっていく。

つまりEthereumは「一つの高性能チェーン」を目指しているのではない。

インターネットのように、無数のネットワークへ処理を分散させながら、それらを共通規格で接続し、世界の経済活動を一つの巨大な経済圏へ集約する。そして、その経済圏の最終セキュリティをETHが支える。

SWIFTによるEVM化は、この構想を金融の世界へ広げる大きなきっかけになる。SOLやXRPLが一つのチェーンを強くするモデルだとすれば、Ethereumは無数の経済圏を接続し、それらを一つの巨大なネットワークとして機能させるモデルだ。

インターネットが「一つに詰め込む」のではなく「分散して、つなぎ、巨大化する」ことで世界を変えたように、Ethereumも同じ構造で世界の価値を取り込んでいく。

分散するのは処理。集約するのは経済圏。そして、その最終的な価値捕捉の中心にETHがある。