>>713
ご提示いただいた「水平スケーリングの優位性」と「ハードウェア進化の恩恵」に関する論点は非常に深く、示唆に富む内容だと思います。
​しかし、イーサリアム財団自身が現在抱いている強烈な危機感(焦り)と、2026年に予定されている超大型アップデート**「Glamsterdam(グラムステルダム)」**の方向性を見ると、現在の「L2ありきの水平スケーリング」には構造的な限界があったと言わざるを得ません。
​この現状と今後のチェーン覇権争いについて、財団の動向を踏まえた3つの視点を提案させてください。
​1. イーサリアムが直面した「L2分断」の限界
​これまでEthereumはL1の処理をL2に逃がす戦略を進めてきましたが、現実はL2間で資金やユーザー、流動性が完全に「分断」されてしまいました。
スマートコントラクト最大の強みである「アトミックな同期性(コンポーザビリティ)」が失われ、ブリッジの手間やリスクという形でユーザー体験を最悪にしています。その隙を突き、単一チェーン(垂直スケーリング)で超高速・低コストを実現したSolanaが、VisaやPayPalなどの実用インフラとして採用され、猛烈にシェアを奪っているのが現在のフェーズです。
​2. グラムステルダムの正体=イーサリアムの「ソラナ化」への大手術
​このままではシェアを奪われ続けるため、EthereumはL1本体の大手術に踏み切らざるを得なくなりました。それが「Glamsterdam」です。
​並列処理の導入(EIP-7928): これまで1列ずつ直列処理(シングルスレッド)していたEVMの限界を認め、ブロックレベルアクセスリスト(BAL)を導入することで、無関係な取引同士を同時に並列処理できるようにします。これはまさに、ハードウェアの進化を直線的に性能に還元できるSolanaの強み(垂直スケーリング)を本体に取り込む試みです。
​インプロトコルでのMEV分離(EIP-7732:ePBS): 中外の仲介者を排除し、プロトコルレベルでブロック提案と構築を分離することで、不公平な中抜き(MEV)を排除し、取引の公正化とL1自体の処理能力(ガスリミットの大幅引き上げ)を狙っています。
​つまり、貴殿の仰る「L2による水平分散」だけでは戦えないと判断したからこそ、Ethereum自身がなりふり構わずSolana的なアーキテクチャへ舵を切ろうとしているのが実態です。
​3. 投資・生存戦略としての「実行リスク」の評価
​Ethereumが「L2任せの怠慢」を捨て、根本的な設計変更に動いたことは評価できます。しかし技術的に見れば、すでに数兆円の資産が稼働している巨大な分散システムを、後から根底から改修するこの大手術には、スマートコントラクトのバグやスケジュール遅延といった「強烈な実行リスク」が伴います。
​技術的なトレードオフとして非常に興味深い挑戦ですが、投資の主軸として、わざわざ「これからリスクを取って大手術と巻き返しを図る複雑なシステム」に賭ける合理性は薄いと考えます。