XRPLのステーブルコイン市場は世界全体の約0.1%前後の規模 もうブリッジ通貨どころじゃないよね

XRPL上のXRPが国際決済のブリッジ通貨として機能するための流動性は、現状では十分とは言い難い状況にあります。

そもそもブリッジ通貨という仕組みが成立するためには、いくつかの前提条件が必要です。最も重要なのは、巨大な流動性と深い市場、そして世界中で常時取引される十分な取引量です。仲介通貨は、ある通貨から別の通貨へ資金を移動する際に一時的に資産が集中する役割を担います。そのため、大量の売買が行われても価格が大きく動かないほどの市場の厚みと流動性がなければ、実務上の決済インフラとして機能させることは困難になります。

現在のXRPLの状況を見ると、その流動性の規模はまだ限定的です。XRPL上に存在するステーブルコインの総額は、2026年時点でおおよそ3億〜3.6億ドル規模とされています。一方、世界全体のステーブルコイン市場は同時期におよそ2500億〜3000億ドル規模に達しています。この数字を比較すると、XRPLが占める割合はおよそ0.1%前後にとどまります。金融インフラとしての規模という観点から見ると、依然として非常に小さなシェアであると言わざるを得ません。

さらに注目すべきなのは、Ripple が発行しているステーブルコイン RLUSD のチェーン別分布です。2026年初頭のデータでは、RLUSDの供給の約77〜80%が Ethereum 上に存在しており、XRPL上にあるのは約20〜23%程度にとどまっています。具体的には、Ethereum上にはおよそ10億〜12億RLUSDが存在するのに対し、XRPL上は約3億〜3.4億RLUSD程度とされています。つまり、Ripple自身が発行するステーブルコインであっても、その流動性の大部分はEthereum側に集中しているという構造になっています。

また、RLUSDはすでに発行から1年以上が経過していますが、流動性の中心は依然としてEthereum側にあります。ステーブルコイン市場では、発行後の比較的早い段階で流動性の中心となるネットワークが決まる傾向があり、この事実は現在の市場構造を理解するうえで重要な指標となります。

この点は、XRPのブリッジ通貨モデルとの関係で重要な意味を持ちます。XRPが想定していたモデルは、「法定通貨 → XRP → 法定通貨」という形で国際送金を仲介するものです。しかし、この仕組みが大規模に機能するためには、世界中の銀行や金融機関が参加し、巨大な流動性が存在することが前提となります。

実際の外国為替市場では、1日の取引量は7兆ドルを超えるとされています。これと比較すると、XRPL上のステーブルコイン市場の数億ドル規模という流動性は、国際金融のスケールから見ればまだ非常に小さい水準です。大手銀行の1日の決済額と比較しても、現在の規模は限定的と言わざるを得ません。

こうした状況の中で見られるのが、Ripple社自身がEthereum上でもRLUSDを発行しているという事実です。結果として、RLUSDの流動性の多くはEthereum側に存在し、XRPLはそれよりも小さな規模のネットワークにとどまるという構造が生まれています。

さらに重要なのは、ステーブルコイン市場そのものがすでに強いネットワーク効果を持つ段階に入っていることです。現在の市場では、

Tether

USD Coin

といった主要なステーブルコインが巨大な流動性を持ち、取引所、DeFi、レンディング、決済など多くの用途で広く利用されています。こうしたインフラが一度形成されると、新規のステーブルコインが同等の流動性を確保することは容易ではありません。

そして、この構造をさらに強固にする可能性があるのがEthereumのスケーリングです。もしEthereumが並列処理の強化やレイヤー2の発展によって処理能力と手数料の問題を大きく改善すれば、すでに集積している流動性、開発者、金融アプリケーションのネットワーク効果がさらに強化される可能性があります。金融市場では流動性は流動性のある場所に集まり続ける傾向があるため、一度形成された市場の重心は時間とともに固定化されやすくなります。

以上を整理すると、XRPLのステーブルコイン市場は世界全体の約0.1%前後の規模にとどまり、さらにRLUSDの流動性の大部分はEthereum上に存在しています。加えて、ステーブルコイン市場はすでに強いネットワーク効果を持つ成熟段階に入りつつあります。このような市場構造を踏まえると、XRPL上のXRPが国際決済のブリッジ通貨として広く機能するためには、現在よりもはるかに大きな流動性の拡大が必要になると考えられます。