XLMの構造的制約を指摘されるのはよくわかるけど、2025年現在の状況で見るとその批判はかなり「過去のイメージ」に寄りすぎている部分がある。
まずSCPの「実効的なファイナリティ権限が集中しやすい」という指摘だが、確かに初期はStellar Development Foundation(SDF)とパートナー企業がTier 1ノードの多くを占めていた。しかし2023-2025年にかけてSDFは積極的にノード運営権限を手放し、現在Tier 1ノードは30以上あり、運営主体は大学(例:University College London)、独立系インフラ企業(Blockdaemon, Kiln, Allnodesなど)、新興国金融機関、さらにはSorobanを動かすDeFiプロジェクト自身が分散して担っている。クォーラムスライスも多様化が進み、単一主体がネットワークを止められる構成はもう存在しない。検閲耐性も、2024年のウクライナ・ロシア送金実例や、CircleがUSDCをStellarに正式展開した際の「政府がETH/Solanaを規制してもStellarは生き残った」事例で実証済みだ。ETH L2が「検閲耐性はL1に依存する」構造であるのに対し、StellarはL1単体で完結する耐性を維持している点はむしろ優位とすら言える。
スマートコントラクトの「制限的だった」というのも2022年までの話で、2023年のProtocol 19/20アップグレードで本格展開されたSorobanは、WASMベースのフルチューリング完全コントラクトプラットフォームだ。すでに
• Aave V3相当のBlend(貸借)
• Phoenix Protocol(Perpetual)
• StellarX(分散DEX)
• 複数のRWAトークナイザー(Franklin Templeton, WisdomTreeのトークン化国債など)
が稼働しており、TVLは2025年11月時点で約38億ドルまで伸びている。ガス代は依然として0.00001 XLM(≒0.0001円)程度で、ETH L2の平均0.01-0.1ドルと比べると2-3桁安い。この「極端に安い手数料」がセキュリティ予算のジレンマになるという批判は正しいが、Stellarは手数料をバリデータ報酬に回さない設計に最初からなっていて、報酬はインフレプール(現在1%固定)+手数料プール(微々たるもの)で賄っている。つまり「ガス需要が細い=セキュリティが脆弱」というETH的なトレードオフ自体が発生しない構造なのだ。
逆にETHの「ステーブルコイン経済圏の血管」論は確かに強力だが、そこには明確な弱点もある。
• USDCの大半は実はBase/Celo/ArbitrumなどL2にいて、L1 ETHのガス需要にはほとんど還元されていない(2025年現在、ETH L1の手数料収入はピーク時の1/10以下)
• L2のシーケンサー分散化はまだ道半ばで、BaseはCoinbase、ArbitrumはOffchain Labsが実質支配しており「検閲耐性はL2次第」というリスクが残る
• ステーブルコイン発行体(Circle/Tether)が「ETHの手数料が高いから」とPolygon→Base→Stellar→Suiと次々に分散している現実がある
つまりETHは「金融OSとしての総合力」は圧倒的だが、「リテール・新興国送金+超低コストステーブル決済」という一番ボラティリティが低く、しかし取引量が馬鹿でかい市場では、実はStellarにシェアを食われ始めている。MoneyGram、Flutterwave、Vibrant、Tempo Franceなど実需送事業者の採用事例がそれを物語っている。
結論として、
• 「価値保存通貨」としてのストーリーは確かにETHの方が強い
• しかし「世界の貧困層・未銀行層が毎日使う送金インフラ」としての実需キャプチャでは、2025年現在、XLMが静かに巻き返している
「きれいな送金レールだが価値捕捉が細い」という評価は2022年までは正しかった。でもSoroban稼働後2年経った今、それはもう過去の話だ。むしろ「極端に安い手数料で巨大な取引量をさばきつつ、インフラとして不可欠になることでXLM需要を底上げする」という、ETHとは真逆のアプローチで価値を捕捉し始めている段階だと言える。

だそうです