イーサリアムは現在、「巨大な本店」のような存在です。その周りには、スケーラビリティと低コストを求める無数の「支店」——L2ネットワークや互換チェーン——が広がっています。これらの支店は店内で仕事を処理することで速さと安さを実現しますが、「元帳の最終確定」と「資産の最終的な保全」という最も重要な機能は、すべて本店であるL1に依存しています。L2は既にこの構造ですが、Agglayerのような技術の進化により、EVM互換チェーンや、将来的にはMove系などの非EVMチェーンまでもが、同じようにイーサリアムL1の絶対的なセキュリティを「借りる」流れが決定的になっています。

この時、重要なのがガス代の流れです。L2ではユーザーがETHやARB、OPなどの独自通貨で手数料を支払います。しかし、L2の存在意義そのものである「L1へのデータ書き込み」には、必ずETHが必要です。L2で集められたガス料は、プロトコル内部で集約・管理され、市場でETHに交換された上で、L1へのアンカーレット(データ投稿)コストとして支払われます。つまり、L2で何らかの通貨を使おうと、経済活動の最終的な需要はETHに収束するように設計されているのです。この需要がL1のステーキング報酬の源泉となり、ステーカーへと還元されます。

さらに、EigenLayerに代表される「再ステーキング」の概念が、この構造をさらに強固にしています。これは、イーサリアムのセキュリティを「再利用」する仕組みであり、ETHステーカーは自分の担保資産を、他のブロックチェーンやミドルウェア(データを提供するオラクルなど)のセキュリティ保証にも提供することで、追加報酬を得られます。これにより、ETHは単なる燃料ではなく、Web3全域における「信頼そのものの基盤通貨」 へと昇華しつつあります。結果として、チェーンの増加は直接ETHの価値と報酬に還元され、ETHステーキング報酬はネットワークの拡大とともに雪だるま式に増えていくのです。

一方、XRPのエコシステムは、XRPL、Flare、EVM互換チェーンといった異なるネットワークが、独立した「島」のように分断されたままです。ブリッジによる接続は可能ですが、互換性が標準化されておらず、常にコスト、リスク、複雑性が伴います。これでは統一的な流動性や資本効率は生まれず、ユーザー体験も分散したままです。

さらに決定的なのは、XRPにはステーキングや再ステーキングによる価値還流の仕組みが存在しないことです。ネットワークがどれだけ活発に使われても、XRP保有者に利益が自動的に返ってくることはありません。XRPの主なユースケースはブリッジ資産としての価値移動と安価な取引手数料ですが、手数料はほとんど燃焼されず、「使われても価値が貯まらない資産」 という構造から脱却できていません。その結果、長期的に保持し続ける強いインセンティブが働きにくいのです。

このように、Ethereumはネットワークが拡大すればするほどETHに価値が集まり、保有者はステーキング報酬を通じてエコシステムの成長の果実を直接享受できる自己強化型の経済モデルを構築しています。一方、XRPは分断されたエコシステムと、根本的な報酬循環メカニズムの不在により、価値が集積しにくいという根本的な差が存在します。Ethereumは、チェーンの増加が直接ネイティブ資産の価値に還元される唯一無二の生態系として、その地位を強化し続けているのです。