店内をキョロキョロとしていると両親とはぐれてしまったのか
幼い女の子の泣き声が聴こえてくるが
これだけ人がいるのに誰一人として女の子に関心を持つ者が
皆無であるどころか誰一人として人間的表情を持った者が無く
無表情だった
俺は女の子に近づき訊いた
お父さんお母さんとはぐれたのかい?
女の子は無言でうなずく
じゃあお兄ぃさんが一緒に探してあげる
俺は女の子の手を取って歩きだすと珍しく感情的な声が後ろから
聞こえる
おいウチの娘をどこへ連れていく気だ!
ああちょうどいいそこの警備員さん誘拐犯です!
俺は濡れ絹を着せられ警備員に警備室へと連行された
警備員は外に誰も居ない事を確認するとドアをピシャリと閉め
鍵を掛けやがて小声で俺に問いかけた
あなたこちらの世界の人間ではありませんね?
は?と俺は首をかしげる
あなた見たでしょう、ここの無表情な連中を
違和感をおぼえなかったんですか?

この奥に外の世界へと戻る裏口があります
悪い事は言わない、今すぐにここを出なさい
ここに長居していたらあんたもああなっちまう
俺はその後警備員に勧められるままそこを出ると
いつの間にか6時間も経っていたのか明け方だった
体感では15分しか経っていないはずだった
翌日の真夜中再びその小路を覗いてみたが
もはやあの見慣れた緑の看板はなかった 完