20××年。俗にCC部落と呼ばれている集落へ、私は足を踏み入れた。
NEM不正アクセス流出で資産を凍結され、国税局に家も車も差し押さえられた者たちが固まって住む貧民街だ。
住民たちが「部室」と読んでいる掘立小屋跡周囲の道端に
ポスターの類らしきものが落ちている。
拾ってみるともう褐色になりかけており、ところどころ千切れている。
紙を翻してみると、表にはこう書いてあった。
「国はコインチェックを潰せない。手数料収入を稼がせてあげて出金ムードを止めてあげて新規がまた再開してくれるようにすることが必要。メッセージを送ることも有効だね」
実は、この仮想通貨にはきつい雑所得税がかかる。
みなそれを知らぬまま、束の間の栄光を求めて買い漁った時代があった。
集落の古老は目の焦点がぶれている顔で、早口でまくしたてる。
「僕は和田さんを信じてる、近いうちに資産を返還してくれるんですよ!」
彼はもう数十年、これが口癖なのだそうだ