実在の重大な冤罪事件を持ち出すなら事件の構造まで見たほうがいい。湖東記念病院事件は単に「知的障害のある人が自白して有罪になった」という話ではない。
実際に患者の死亡があり、解剖も行われた。しかし、その死因についても、人工呼吸器からの酸素供給途絶によるものだという認定自体に、後の再審で重大な疑いが生じた。その死因認定を前提に、医療事故なのか故意の殺害なのかが問題とされ、そこに自白などが組み合わされて有罪認定された。
だから「自白」「知的障害」という共通ワードだけを抜き出して、現実にあった冤罪事件だから漫画の展開もよくあることだ、とするのはあまりにも乱暴。現実の冤罪事件を引き合いに出すなら、何が証拠になり、どこで誤認が生じ、最終的に何が否定された事件なのかまで踏まえるべきだと思う。