鶴見篤四郎は、そもそも捨て身でハッタリ上等の孤独なチャレンジャーなんよ。
勝つ見込みがなくても死ぬまで戦わずにはいられない人間となったのは、賊軍越後長岡藩の名門士族の生まれであること、維新の立役者である西郷の西南戦争での死、家の没落で望む道(ピアノとか?)に進めなかったといった背景によるところ大なのでは。
優秀だが財産がないために石光真清のように情報将校の道に進み、ウラジオストクでスパイ活動の隠れ蓑として試し行為で現地のロシア女性と結婚したり、第七師団で鶴見劇場をしたり、すべて束の間のエンタテイメントであることは分かっていても止められない。
この世では帰る場所は何処にもないし、そもそも安住の地を求めていなかったろう。再婚とかしてなくて、フィーナ親子への愛とウイルクへの復讐に囚われていたし。
部下たちには災難だったが月島は死刑から救い出して腹心になってくれているし、宇佐美は忠犬だし、クセは強いが師弟関係の友愛はあったと思う。戦死した日清・日露の戦友への愛惜も忘れられないのだから。
鯉登少尉に対しては、薩摩閥でなければ、そして大器の器でなければ、甘いウソを続けていただろう。
エンターテイナーの才能がありすぎて、地味な人生は送れないんだろうが、そこがイイんだよね!
ヒトラーなんかに比べたら、ずっとずっと面白くて味わいのあるヒトだよお、鶴見中尉殿は。
30巻の加筆修正では鯉登さんにスポットライトが集中したので、小屋のシーンで中尉のセリフが差替えになってしまって残念だけど、その分31巻では見せ場が増えて大見得を切ってくれるよ、きっと。