「『チ。』という漫画は、天動説と地動説の対立をあくまでも「宗教」と「科学」の対立関係であるように仕立て上げ、ひいては「権力による弾圧」と「それでも意思を貫く個人」の人間ドラマの構図にそのまま重ねようとしている」

この指摘は当たりだ。歴史上の「地動説対天動説」を歪めていると言えばその通りだろう。
宗教による地動説の迫害という読者にアピールしやすい話に誘い込んでいて、そしてもちろんそれは意図的に作者がやっている。


私は作品に対して残念に思うことがある。

作者は最後「地動説対宗教ではなかった」というオチをつけた。
にも関わらず、では何故だったのかという説明をほとんどしなかったため、「地動説対宗教」のイメージがあまり払拭されないまま読者の心に残った。

もしあそこで、司教個人が何故地動説を迫害したのかをきちんと説明して、そこに読者を惹きつけるドラマを用意したなら、読者の頭からは「地動説対宗教」が最後の時点で払拭されて「歴史事実を歪めた物語ではなかった」と読後にスッキリできたのではないか。

この批評ブログのこのような批判を許さずに済んだだろう。

その時点では既に作者は読者を十分引きずり込んでいたわけだから、ウィンウィンのような結果になったと思う。
それがなかったことが惜しかったと私は思っている。