年老いた漁師が、海の底から真鍮の壺を引き揚げた。
 鉛の封を解き、蓋を開くと、一柱の雲突く魔神が現れた。
 魔神は己が身の上を語る。

「至高者の名の下に封印され、水底で解放を待つ我は、最初の百年にこう思った。
『我を解き放つ者を、永久の富者としてくれよう』
 次の百年にはこう思った。
『我を解き放つ者に、地の宝物すべてを与えよう』
 さらに次の百年にはこう思った。
『我を解き放つ者の、あらゆる願いをかなえよう』
 だが救い手は現れず、終いに我はこう思った――
『我を解き放つ者を、たちどころに殺してくれよう!!』」

ブライトライツ・ホーリーランド

著/古橋秀之、メディアワークス